「すずめの戸締まり」を観てきました。
今回の新海誠作品は、災害を食い止めるため日本を縦断するロードムービーでした。
あと、景色など映像表現は相変わらず美しかったです。
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エンタメで災害(地震)をテーマにした意欲作
主人公のすずめと椅子に変えられた青年・草太と「災い」を食い止めるため各地にある扉を閉じていくストーリーで、各地で出会いと別れを繰り返すロードムービーでした。
「君の名は。」以降、登場人物と災害が絡んだ物語が描かれていますが、今回の災害は地震でした。
劇中でははっきりと明言されていませんが、日記の日付や場所から推測するにおそらく3.11東日本大震災を経験したヒロインが主人公です。
地震をエンタメに持ってくるのは、かなりデリケートですが、しっかりと向かい合って描かれていたと思います。
災害の多い日本に住む人なら、感情移入しやすい世界観だったと思います。
映画『#すずめの戸締まり』
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) 2022年10月22日
ご鑑賞予定の皆様へ pic.twitter.com/KVfAk6s2aw
作中で、神戸も災害の扉が開きましたが、実際に地震があった場所が選ばれたのかなと思いました。
神戸が出たときに、すずめの旅の終着点がどこになるのかが想像できました。
私自身、子どもの時に阪神淡路大震災を経験しましたが、アニメなどの形で地震などの災害の怖さや無力感を後世に伝えていくのは大切だと感じます。
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緩急あるストーリーが繰り返される
各地の扉を閉じていくというストーリー通り、物語が盛り上がる場面が何回もあり、観客を飽きさせず最後まで集中させていたと思います。
ヒロインのすずめを演じるのは原菜乃華さん、草太役は松村北斗さんと声優初挑戦のお二人でしたが、違和感を全く感じず最後まで楽しめました。
他の登場人物も違和感を感じる声優さんはおらず、しっかりキャスティングされていました。
シリアスな展開が多いですが、コメディ部分もしっかりあり、笑いとシリアスのバランスが良かったです。
あと、子ども(すずめ)が家を飛び出して遠くに行ってしまったり、夜遅くに出ていったりしますが、周りの大人がちゃんと心配したり叱るのが個人的に安心しました。
子どもだけの物語ではなく、大人がちゃんと関わってくるのが良かったです。
女の子が主人公の物語
今までの作品もヒロインが不思議な力を持っていたりと大きな存在でしたが、最終的に男の子がヒロインを助けに行く展開で、どちらかというと男の子が主人公でした。
でも、今作は青年が不思議な力を持っていたり犠牲になって、女の子が助けに行くという今までと逆の構図になっていました。
劇中のツイートが実際に
劇中でダイジンと呼ばれる猫がツイートされていますが、実際のTwitterでもツイートされるという遊びのある仕込みもありました。
下車した‼️ #ダイジンといっしょ pic.twitter.com/x5IgXKOxOI
— 電車男densyaguy (@takeo_densyagu1) 2022年9月20日
うちの農園にご訪問!🍊#ダイジンといっしょ#関川駅から15分 pic.twitter.com/TTeHbnTYGa
— みかん大臣 (@mikans_daijinn) 2022年9月30日
音楽は控えめ
音楽は3度目のタッグとなるRADWIMPSに加え、陣内一真さんが手掛けています。
劇中にミュージックビデオが始まるかと思っていましたが、今回は一度もなかったです。
「天気の子」ではちょっと多かったかなと思いましたが、1曲ぐらいはあって欲しかったです。(個人的には曲に合わせて映像が流れるのが、新海作品の強みだと思っているので)
でも、シリアスシーンの緊迫した曲はかなり迫力があり良かったです。
あと劇中後半では、ドライブシーンで懐メロが何曲も流れます。
「ルージュの伝言」が流れたときは驚きました。魔女の宅急便やん⁉
作中でもジブリ作品に(間接的にですが)言及していて面白かったです。
個人的にカタルシスを感じなかった
新海作品として映像の美しさは相変わらずでしたが、個人的に「君の名は。」や「天気の子」で感じたカタルシスを今作では感じませんでした。
その理由は、災害が未然に防がれたからだと思います。
君の名は。や天気の子は、隕石が落ちて村が壊滅する、水害で東京が水没するといった被害が実際に起こり、それを回避するため、抑えるために主人公が奔走しました。
しかし今作は(冒頭で地震の被害がちょっと出ましたが)、大きな被害が起きる前に主人公が未然に防ぎます。
誰も知らないところで、人知れず事件が起きて解決されるのです。
不謹慎ですが、一度大きな被害が出ていたら、その後の真剣さやシリアスさが際立ったかなと思います。
ただ地震被害をリアルに描いてしまうと、否定的な意見が多くなりそうなので、これで正解だと思いますが……。
あと、すずめが草太を好きになる理由をもう少し掘り下げてほしかったです。
一目惚れだと言われるとそれで納得するしかないのですが、イケメンだからと言っても出会ってすぐに椅子になってしまったので、内面で惹かれていった描写がもう少し欲しかったです。
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入場者プレゼント「新海誠本」
入場者特典は「新海誠本」とSpotifyのプレイリストのQRコードカードです。
(この記事もSpotifyのプレイリストの曲を聴きながら書きました。)
特に「新海誠本」は、かなりおすすめです。全国300万人限定みたいなので、早めに劇場に行った方がいいです。
すずめの戸締まりの企画書や制作秘話が載っていて、パンフレットよりも濃い内容だと思いました。
ちなみに、パンフレットは新海監督以外にも声優や音楽のインタビューが多めの内容でした。
個人的には製作裏話や設定の解説などの話しの方が興味あるので、パンフよりも特典の方が満足でした。
「すずめの戸締まり」の感想まとめ
「すずめの戸締まり」も良作以上の作品だと思います。
ストーリーも大きな違和感なく、没入することができました。
感じ方は人それぞれなので、君の名は・天気の子と比べてどれが良かったかは個人で変わってくると思いますが、2作品見た人は今作もおすすめです。
「君の名は。」公開以降、君の名はフォロワーアニメ映画がたくさん出ていますが、新海監督の作品はいい意味で裏切ってくれるので良いですよね。
気が早いですが次回作は、今の路線であるリアルな世界+SF(少し不思議ファンタジー)ではなく、「ほしのこえ」や「雲のむこう、約束の場所」のようなSF(かなり不思議)作品も見てみたい気がします。