ミステリーアドベンチャーゲーム「シロナガス島への帰還」をクリアしたレビューです。
絶海の孤島を舞台にミステリーのお約束を交えながら、予想外の方向へと物語が進む満足感ある作品でした。
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個性的なバディが挑む孤島ミステリー
「シロナガス島への帰還」はSteamやDMM GAMESなどのPCで遊べるアドベンチャーゲームです。
22年11月17日にはフルボイスのニンテンドースイッチ版も発売されます。
私は音声なしのPC版をプレイしましたが、ワンコイン(500円)という値段ながら、それ以上のクオリティの作品でした。
おじさんとコミュ障少女のバディが絶海の孤島で起こる殺人事件に挑む
ニューヨークで探偵業を営む主人公の池田戦(いけだ せん)は、エイダ・ヒギンズから依頼を受けて、臨時助手として同行した少女 出雲崎ねね子とともに、絶海の孤島「シロナガス島」を調査することになります。
おじさんと少女の組み合わせといっても超個性的な2人が、シロナガス島の謎を解き明かしていきます。
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一癖も二癖もある登場人物たち
「シロナガス島への帰還」には、主人公を含め個性的なキャラが登場します。
ネタバレにならないように、主人公2人だけ紹介します。
天才だけどコミュ障少女
出だしから個性が爆発しているのは天才少女、出雲崎ねね子です。
彼女は、完全記憶能力を持っており、一度見たものは絶対に忘れない。20以上の言語を話すことができ、プログラミングや機械工学も天才レベルと無敵なスペックを持っています。
ただし、コミュ障……。たとえ20以上の言語を話すことができても、緊張してしまい話すことができません。殺人事件が起こると泣いて逃げ回ります。
天才だけど、それを100%発揮できないところに愛着がわいてきます。
凡人だけど頼れるおじさん
そしてもう一人の主人公は頼れるおじさん、池田戦です。
ねね子のように天才的な何かを持っているわけではないのですが、非常時も冷静に考えることができ、危機的状況でも軽口を叩く余裕がある頼れる主人公です。
身体能力も高く、銃の扱いにも長けています。
この二人のアンバランスさが、ぴったりと組み合わさり事件の謎が明かされていきます。
どちらが欠けても真相にたどり着くことができない、凸凹のような2人組みの主人公でした。
ノベルゲームとしてクオリティが高い
序盤は池田視点で話が進みますが、中盤からは ねね子視点も入ります。
2人のやり取りは、緊張感のある状況でも和みました。
無力なねね子視点では、犯人に見つかるとやられるかもという恐怖感もあり、池田視点で犯人を追いかけていくような爽快感も味わえます。
序盤の展開からミスリードな仕掛けがあり、後から見ると、だからこういう演出だったのかと納得する場面が多々あります。
絶海の孤島、洋館、姿を見せない館主などお約束の展開を見せつつ、最後は全く予想しなかった展開には、なるほど!となりました。
笑える所は笑えて、怖い所は怖く、感動させる所ではしっかりとホロリとさせるメリハリのある物語が味わえました。
ちゃんと謎解きが求められる
最近のミステリー系ノベルゲームでは、犯人が分からなくて間違った選択肢を選んでも「これは違う気がする…」と正解を選べるものが多い気がします。
そんな中、「シロナガス島への帰還」は、答えや犯人を間違えるとちゃんとゲームオーバーになります。正解を選択しないと、次に進めません。
かといって難しすぎるわけでもなく、ちゃんと考えていたら答えが分かりますし、バッドエンドで、間接的にヒントをくれていたりします。
爆弾解除といった制限時間付きの展開もあり、ミステリーゲームを遊んでる感がありました。
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シロナガス島「への」帰還
タイトルが伏線になっていて回収される作品が凄く好きなのですが、この作品もその1つとなりました。
タイトルは「シロナガス島への帰還」となっていますが、主人公たちは殺人事件が起きたシロナガス島「から」帰還が目的です。
ではだれがシロナガス島「へ」帰還するのか?
終盤で一気に明かされますが、その流れがホント良かったです。
そして、序盤で推論されたものの結局答えがでなかった「シロナガス」島の名前の由来が最後に分かる演出には感動しました。
想像以上のおまけ要素あり
本編クリアすると後日談となるオマケシナリオが解放されます。
シリアスな本編の後の、サクッと終わる明るい内容かと思いきや……。
怖いやら、面白いやら……笑いながらもびっくりさせられ、なんでやねん!という超展開でした。
イマイチだった点
ストーリーに関しては、満足感の高いものでしたが、システム周りでイマイチだと思った点がありました。
アドベンチャー要素で、実際に自分でクリックして怪しい場所を調査するパートが多々でてきます。
調べられる箇所を全部調べないと先に進まない仕様なのに、クリックすべきところが分かりにくかったです。
クリックできる場所を探したり、同じ個所でも反応が変わったりするので、とりあえずいろんな箇所を、話が進むまでクリックし続けるという作業が残念でした。
「シロナガス島への帰還」まとめ
個人的にノベルゲームは、ストーリーが面白かったら後はいまいちでも満足というタイプなので、この作品は大満足でした。
登場するキャラがテンション高め(特にクリア後オマケシナリオ)なので、ボイスありのスイッチ版も遊んでみたいなという気持ちになっています。
池田とねね子の物語はぜひともシリーズ化してほしいです。